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月と願いごと



★神楽坂・DIMENSIONスペシャル!
DIMENSION 10th ANNIVERSARY
「しぇるたぁいんざこおらる クリスマススペシャル」
〜35周年と10周年が交わる夜〜

2007年12月19日(水)
open19:30 start20:00
出演:あがた森魚、真黒毛ぼっくす
at DIMENSION(神楽坂)


★『月刊『もっちょむ』12月集壕』〜あがた森魚月刊映画上映会〜

2007年12月21日(金)
開場 18:00 上映開始 19:00〜
『もっちょむうすけしぱあぷるへいず11月號』
at space neo(小川町)



切り絵の高層ビルの隙間、やたらとファンタジーな満月が浮かんでいた。「ほら」と指差すと、田口は口をぽかんと開け、いつまでも空を見上げている。雲の上のミュージシャンとの心躍る共演のいっぽう、アパートでギター弾けば、住人から即刻、騒音の苦情。夢と現実の狭間で「俺はこの街に自分の歌を歌いに来たんだろ。ソロライヴはどうしたんだ!」自らの頬を両手で叩く。

「東京で月を観たのは、初めてかもしれない」と呟き、その後、田口は「月」というシンプルな一曲を創った。そして、私に「アコーディオンを弾いてみないか?」そんな風に促した。子供の時から10年やっていたアコーディオン。難易度の高い楽曲の「暗譜作業」に挫折し、押し入れに眠る楽器の話を、田口は覚えていた。

ある日、田口と楽器を合わせた。譜面らしい譜面はない。コードもよく解らない。指も勘を取り戻せない。しかし、田口が導く度に共鳴し、生まれてくる新しいハーモニー。あれこれアレンジを考える度、嬉しくて胸が高鳴り始める。田口が言う。「な、音楽は楽しくなくちゃな。感動して、初めていい音楽に出会えるんだ。音楽って溢れるものだよな」

2007年12月19日。田口はあがた森魚のライヴの前座で「月」を歌った。アンサンブルを想定したこの曲は、ギター1本、ソロで歌うには厳しい曲だ。田口は懸命に歌ったものの「何かが足りなかった」と落胆し、翌日電話をかけてきた。翌21日は、あがた森魚月刊映画上映会後のミニライヴ。「あの曲をやっぱり、アコーディオンと合わせたい」というのだ。無理だと思った。あがた森魚の公式イベントだ。アマチュアが演奏をすれば、田口は意義が厳しく問われる筈だ。断り続ける。しかし、田口は繰り返す。「失敗してもいい。厳しい評価をされても構わない。あの曲は一緒に創り出したんだ、一緒に演奏しなくちゃ嘘だろ。表現とは何だろう? 常識や守りに囚われ、いちばんやりたいことに目を瞑るなんて、音楽の死だろ?」

12月21日。重い楽器を運び、会場に向った。映画とトークセッションが終了し、演奏を促される。覚悟は決めていたものの、目眩のしそうな緊張が走る。何よりも、絶対に、田口に恥をかかせたくない……。客席とステージの間に横たわる国境の向こうに、小さな椅子があった。

丁寧なギターイントロが始まった。高鳴る鼓動のなか、田口の呼吸に合わせて、鍵盤を辿る。不安定を力強く導く田口の歌声。欠けた月が満ちてゆく。ギターに重なり、微笑むアコーディオンの音色。音楽とはこんなに美しく、心震えるものなのか、生きるとはこういう瞬間なのか。熱、想い、誰かに伝えたい情感が溢れ出していく。

大切なものを、それぞれ手にした夜だった。私は再びアコーディオンを愛し始め、田口はソロライヴへ向け、大きなワンステップを踏んでいった。






月〜 Moon Light serenade 

こんな綺麗な月は ひさしぶりに観ました
千鳥足の 僕は そっとあなたに話します
夜空にまばたいて 透き通るような 月が
僕らを 照らしてる

そんな綺麗な月が 僕に話しかけます
君の夢のつづきを きっとかなえてあげます
夜空に張り付いて 透き通るような 月が
僕らを 照らしてる……



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by Mahiru1226 | 2008-02-29 00:53

Over the rainbow


★「タルホロジーナイト」

2007年12月12日(水)
開場18:30 開演19:30〜
出演:あがた森魚(Vo., A.G.)武川雅寛(Vn.Tr,他)高橋佳作(Pf.)
   新美博允(G.)すがえつのり(Per.)田口昌由(B. A,G.Co)
P.A.Mix:久保田麻琴
at 晴れたら空に豆まいて(代官山)


2007年12月初旬、「あがた森魚による稲垣足穂スパイラルワールド!」と題されたライヴ、「タルホロジーナイト」へ向けてリハが繰り返されていた。あがた森魚は東北・北海道のツアー遠征で不在、ギターに新美博允、パーカッションにすがえつのりを新しく迎え、演奏ディレクションは、田口に一任されていた。ギターを手にして主旋ボーカルを歌い、ベースを持ち換えてはコーラスを伝える田口。同席する久保田真琴の前でも、不思議と落ち着いていた。緊張と高揚に錯綜した夏秋とは、何処かが違う。

誰もが待ちわびていた、その夜がやってくる。「Taruphology」はアルバム、秋のツアーの評価共に高く、200枚余りのチケットは即日完売。アルバムクオリティに衝撃を受けた人、残念ながら台風で東京キネマ倶楽部行を断念した人、…この夜を見逃す訳にはいかないのだ。PAブースでは久保田真琴が忙しそうにサウンドチェック中。満席の会場に昭和歌謡、沖縄民謡、ラテンミュージック…いかにも久保田の選曲らしいBGMが流れている。

19:50.後部客席で、チンチョルズが先陣を切った。サーカスの哀愁にも似た、昭和レトロなメロディーを奏でながら、客席を縫ってステージに歩んでいく。田口のベース、高橋佳作のアコーディオン、武川雅寛のヴァイオリンの軽快なリズムが重なり「蒲田行進曲」での幕開けだ。あがた森魚の歌声に会場のボルテージが一気に上昇する。

「東京節」から「くるりくるりと」「サブマリン」へ曲が移り、ツアー未演奏の「雪ケ谷日記」へ。歌と朗読が組み合わされた難しい楽曲だ。田口のギターが新美博允のアルペジオと目と肩で合図をしあい、あがた森魚の朗読タイミングを読んでいる。武川さんのヴァイオリンの潜やかな呼吸。心震える音色が、足穂の透明な世界観を描いていく。

「冬のサナトリウム」から再び、ツアー未発表の「弥勒」。午後4時のアメジスト」では軽快なボサノヴァアレンジ。「白い翼」での高橋佳作のアコーディオンパフォーマンス、…静と動のバランスが際立つ見事なステージだ。

田口の伸びやかなコーラスが会場に響く。数日前の言葉を憶い出す。「武川さんや佳作さんには再会の、新美さんやすがさんには『初めまして!宜しく』という喜びで一杯なんだ。バンド最高のグルーヴを導いて、一人ひとりを輝かせたい!」……

2007年、様々な出会いに心躍らせ、困難なツアーを消化してきた田口は、着実に成長を遂げたのだろう。心躍る旋律。会場に広がる小宇宙。多彩なリズムが、透明感のある音が、虹の鱗粉のように積もり続けていく。




演奏曲

「蒲田行進曲」
「東京節」
「くるりくるりと」
「サブマリン」
「雪ケ谷日記」
「冬のサナトリウム」
「弥勒」
「sexisexi」
「いとこ同志」
「午後4時のアメジスト」
「赤色エレジー」
「白い翼」
「百合コレクション」

アンコール曲
「あともう一回だけ」
「月食」




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Photo by K・ICHIKAWA
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by Mahiru1226 | 2008-02-29 00:32