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鏡の先の天国


★「寒空はだかカラフルロスタイムショーVOL.6」
  WITH あがた森魚&清水ミチコ」
 出演:あがた森魚 清水ミチコ 
    寒空はだか MICABOX feat.AyakoTakato
 2007年 9月23日(日) 19:00〜 
at  SUPER DELUXE(六本木)



雨模様の日曜日。六本木ヒルズ近くの「SUPER DELUXE」へ。人波をかき分け、ようやく席を見つける。300人は入っているだろうか、会場は満員御礼、立錐の余地もない。ざわめきと熱気、期待の渦の中、ライヴが始まった。

本番を待つ孤独な緊張をどう消化し、ステージにあがるか---。寒空はだかさんのトークと清水ミチコさんの物まねが終了し、あがたさんが登場、ステージで歌い始めた。「港のロキシー」「冬のサナトリウム」…「サルビアの花」を歌い上げる頃、観客の後ろ、出番を待つ田口のシルエットを見つけた。舞台の様子を観ながら、右へ左に移動し、どうにも落ち着かない様子。「赤色エレジー」が始まる頃には、トイレに逃げ込んでしまった。

清水ミチコさんの、ライヴ後のブログには「本番が近づくにつれ、それぞれが個人の世界にふと入って行くようなシーンとする時間がやってきます」と書かれている。余裕たっぷりにピアノと物まねを披露したベテランの彼女でも、独特の張りつめた空気は耐え難いのだ。ブログはさらにその夜の楽屋、あがたさんの言葉を紹介していた。「(ステージへあがる前は)この世との別れに近い。天国の日もあるけれど、地獄に落ちる夜もあるからね」…今年活動35周年になるあがたさんでもこの心境なのだ。では、大先輩たちと同じステージにあがる田口の心境は…?

「佐藤敬子先生はザンコクな人ですけど」…ようやく戻ってきた田口がステージにあがる。ストラップを肩にかけ、覚悟を決めたその男は、もう別人なのだろう。強いライトと会場の600の視線を浴びながら、落ち着いた表情で顔をあげた。

新譜「タルホロジー」にも収録された「いとこ同士」。田口は以前はピアノアレンジだったこの曲を、ギター1本にアレンジしている。情感溢れるギター(田口はギターでも歌うのだ)、コーラスの呼吸もぴったり。あがたさんの顔が心なしか緩んだ。さらに清水ミチコさんも一緒に演奏をする「パールデコレーションの庭」、そして田口がベースを演奏する「大寒町」へ…

アンコールは出演者全員、会場も一体となった「BE MY BABY」。盛り上がる中、田口のコーラスも聴こえてくる。会場中笑顔が溢れていた。何という楽しさなのか。あがたさんが言う「天国と地獄」があるならば、このライヴでは間違いなく、居合わせた全員が「天国」を共有したのだ。

田口はあの時、トイレで独り、鏡を見つめていたという。「頑張れ、田口!」全身に気合いをいれ、扉を開け、光溢れるステージへ歩んだのだ。

鏡の先の天国_c0140441_16243637.jpg

by mahiru1226 | 2007-10-26 12:02
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