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変わるもの、変わらないもの


★『月刊『もっちょむ』9月集壕』
  〜あがた森魚月刊映画上映会〜
 2007年 9月28日(金)
 『もっちょむうすけしぱあぷるへいず8月號』
 上映開始 19:00〜 上映後、トーク&ミニライヴ
 at  Space neo(神田小川町)


「もっちょむ」はあがた森魚が撮影した日記映像を映像作家・岡本和樹監督が編集した月刊映画だ(岡本さんが制作から離れ、現時点では「だった…」という過去形になってしまうが)。個人的には3回目の鑑賞だが、それにしても、毎回、無防備すぎるプライベート映像だ。カリスマシンガーとしてのあがた森魚の表現・発信、音楽というよりも、人間あがた森魚のコミュニケーションの純粋性、少年の我侭や無邪気、不器用な熱、それゆえの「生き難さ」が際立ち、ある種の痛々しさを感じる時がある。それは、どうしようもない恋人の日常を溜め息をつきながら、抱きしめる感覚に少し似ている。時には辟易しつつも、愛さずには居られない。

あがた森魚の映画ゆえ、「もっちょむ」には、当然田口の出演シーンも多い。ライブはもちろん、打ち合わせシーンなどでも田口は目立つ(7月號の打ち上げシーン、あがたさんとのツーショット〜酔っぱらい田口は圧巻だった (笑))。普段は極めて穏やかな田口であるが、芯の強さも人一倍。あがたさんとも対人間として、常に真っ向勝負を行ってきたからこそ、長年の熱のこもったライヴへと結ぶのだ。

「もっちょむ」は、2007年現在では、ほぼリアルタイムの感覚であるけれど、これが10年、20年…30年と経った後は、また違う感慨をもたらす「記録」に変わる筈だ。時代が移ろい、映画が更なる光を放つ頃、田口はどんなミュージシャンになっているのだろう。

上映後はミニライヴ、出演は田口とびん博士、あがたさんは東北遠征のために不在である。連絡の行き違いで、当日現場で「自分がソロで歌うこと」を知った田口。「今日着ているのは300円で買ったシャツなんです」なんて、余計なことをお客さんの前で言いながら、その心中は…。

披露したのは「バス停は雨模様」。いつも思うのは、田口が本当に本番に強い男だということ。以前貰った音源は4年以上前のものだったせいか、印象がまったく違う。声質や声量、安定感…確実に「成長」している!

さらに博士が歌う一曲に合わせる。曲目は博士が入院中に作ったという「片思いの夜の森のカーニバル」。急な話で、たった一日の練習で本番に挑む田口。博士の幻想的な世界観にふさわしい難しいアレンジ。しかし、心配は感動へ変わる。やわらかな博士の歌声、重ねられる2本のギター、一部コーラスで失敗した部分もあったが、二人が奏でる愛と癒しの波動は、余りあってそれを補う。

いい夜だ。気持ちが高揚し、幸せを感じる歌だ。音楽も歌もバンドも愛がすべてだ! 愛がないところに、感動はない! 愛なき表現者などいらない! 素晴らしい共有の喜びにただ泣きたくなる。

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# by mahiru1226 | 2007-10-26 12:09